思春期の息子が読んでいる一冊:「5000キロ逃げてきたアーメット」

 

 

本日ご紹介したいのは、「5000キロ逃げてきたアーメット」という作品です。

この本は約1年前に日本に一時帰国した際、息子のために日本で購入し持ち帰った一冊ですが、息子は本の表紙の少し子供っぽいデザインが気に入らなかったのか、長らく読まずに放置していました。思春期真っ只中の彼には、可愛らしいイラストの本を読むのが少し恥ずかしかったのかもしれません。

ただ、内容は全く子供向けではありません。
この本は、「シリア難民」という国際的な問題に焦点を当て、子供の視点から描かれた深いテーマの作品です。イギリスでは「The Boy at the Back of the Class」というタイトルで2018年に出版され、子どもから大人まで幅広く共感を呼び、高く評価されています。

 

 

実は最近、息子の学校でこの英語版が課題図書に指定されたらしく、リビングに転がっているのを発見しました。私は「これ、日本語版も家にあるけど、もう読んだ?」と聞いたところ、「まだ読んでない」とのこと。彼は英語版を手に取り、昨晩から読み始めたようです。

英語の本を読むことには私よりも抵抗がないようで、日々の学校での勉強が、言語への抵抗を少なくしていると感じます。親としては、羨ましくも誇らしい姿です。

 

 

苦労を通じて得られる力と共感

私は息子に、困難な環境を乗り越えることが人としての成長に大きく繋がると話しています。自らの経験も交えて、挑戦することで得られる自信や視野の広がりについて、折に触れて伝えるようにしています。

息子は比較的慎重で、挑戦や失敗に対して恐れがあるタイプですが、それでも私は彼の成長を願って、いろいろな経験に挑戦させ続けています。

 

 

他者への共感を育む本

普通なら経験しないような困難を乗り越えると、次の困難にも立ち向かう力が養われます。また、自らが経験したことのない苦労でも、他人の立場に立って想像する力が育まれます。

例えばこの本を通じて、難民としての生活を直接経験していなくても、その過酷さを想像し、共感することはできます。
こうして他者の目に見えない苦労に思いやりを持ち、尊重できる力こそが、人生において大きな財産となるのではないでしょうか。

息子には、ぜひ挑戦と共感の力を持って、豊かで幸せな人生を歩んでほしいと願っています。